先日、職場のトップである所長から最後の訓示がありました。
所長とは一年間仕事をしてきましたが、ソルジャーの私が直接話をする機会は少なかったと思います。
それでも、業務説明で所長室で説明をしたことが何回かあり、鋭い指摘を受けました笑
鋭い眼光の奥には知的で優しさを感じることができる人だったと思います。
少なくとも私には。
1.所長訓示
6月某日
所長の最後の訓示ということで、広い会議室に集合がかかりました。
コロナ禍ということで換気やマスク着用で集まります。
私は
「どんなことしゃべるんだろうか。」
と、漠然と思いながら、自分のデスクから歩いて5分ほどかかる遠い会議室に足を運びました。
道中、フロアを3つ上がるのですが、1フロアの高さが高く、5フロア分上がるところがあります。
エレベーターがついているので迷わず、使ったのですが、ほかの同僚は階段を使います。
当然、文明の利器エレベータのほうが早いのでトップ集団で会議室に到着しました。
ソーシャルディスタンスを保ちながら、会議室に人が集まります。
…と言いつつも手を伸ばせは届く距離ですが。
私は会議室の真ん中あたりで割と良ポジで所長訓示を待ちます。
その後わらわらと同僚たちがあつまり、会議室はいっぱいになりました。
同僚と「ソーシャルディスタンスとは…?」
みたいな会話を一言二言かわし、所長を待ちます。
所長が会議室に入ってきました。
ちょっと静まりかえって、換気のために開けていた窓から長閑な鳥の声がします。
大自然に囲まれたこの職場で技術開発しているのはなんか面白いなぁ。
とか思ったりしました。
所長は司会役の総務のNさんと雑談して笑っています。
一分もしないで時間になり、訓示が始まります。
まずはよい成果を出した所員を称える所長即賞です。
現状を粘り強く見つめ、知恵を絞って課題を解決した同僚たちに即賞が贈られます。
そのあと、所長の訓示が始まります。
所長は月初の訓示などでも、いつもポイントだけを抑えて原稿を読まずにしゃべっていました。
この日は珍しく原稿を用意したと笑いながら原稿を取り出しました。
関係会社へ出向となるので今回の訓示は所長が行う弊社での最後の訓示となるのです。
まずは、自分がどんな経験で何をしたくて会社で仕事をしてきたかを語りました。
次に、最近あった事象を取り上げ、人生における大切なことを説きました。
要約するとこんな感じです。
「物事の捉え方一つで次のアクションが変わる。リフレーミングを意識して仕事に取り組んでほしい。安全でメンバー全員が安心して働ける職場にしていってほしい。他者の意見に傾聴して時には今までのやり方を否定することも必要。それは心情的に難しいが、リフレーミングを意識して考えればできるはず」
といったような内容だったと思います。
かなり雑にまとめましたが、こんな感じだと思います。
ちょっとしんみりしながら、最後に集合写真を撮って解散しました。
「今までのやり方を否定するのは難しい」
という言葉に
「確かに。でもなんでだろう。」
と疑問を感じ、自分のデスクまでの帰り道、考えていました。
2.過去を否定することが難しい理由
過去を否定するということは難しいと考える人は多いのではないでしょうか。
それは仕方のないことだと思います。
人間は「認知的不協和の解消」という心理が働く生き物です。
これは自身の中で矛盾する認知(自分の行動や結果など)を同時に抱えた際に、自身の考えや態度、行動を変更する心理です。
矛盾した行動を説明できる考えに変えたりや事実を捻じ曲げることもあります。
考えと行動の不一致に対して違和感を感じ、それを解消させようとするわけです。
言い換えると過去の自分の行動を正当化する価値観を無意識に醸成しているのです。
でも、そういうことができないと心理的にきついことも事実です。
現代社会では必ずしも自分の価値観に沿った行動をとれる場面ばかりではありませんから。
だからまずこういった心理があることを知るべきです。
こういった心理を知らないと
「過去の自分の行動の否定」=「自分の価値観の否定」
となってしまい、強い嫌悪感を抱くことになると思われます。
価値観は行動に影響を与えるし、行動もまた価値観に影響を与えるということを知るべきです。
そうすると、自身の価値観に執着することなく、他者の価値観を受け入れることができると思います。
で、変わるためには実際はどうすりゃいいのよ?
こんな時、思考を整理するのに役に立つのが免疫マップ的な思考です。
これは「人と組織はなぜ変われないのか」に出てくるツールです。
改善目標、阻害行動、裏の目標、固定観念を洗い出します。
改善目標:現状から改善してどうなりたいかを書く
阻害行動:改善目標対して、その目標とは反する行動を書く
裏の目標:阻害行動をとってしまう、目標を書く
固定観念:裏の目標における価値観を洗い出す
この固定観念のところに出てきた価値観が本当に大切なのか。を自身に説く。
あるいは、チームの価値観と合致するかをチームで話し合うのもいいと思います。
おそらく、固定観念を否定することとなります。
そして新しい価値観を受けいれて自身の価値観として醸成するには時間がかかります。
なので、時間をかけてそういった価値観を更新していくことが必要になります。
自分の価値観を意識的に更新できる人はすごく魅力的だと私は思います。
一見、芯がないと思われるのでは?と思ったあなた。
変われない自分を正当化するために
「価値観をころころ更新するのは芯がなくかっこ悪い」
と思っているだけではないでしょうか?
一つの事実として社会は変わり続けています。
そして、社会のなかにもムラがあります。
変化の激しいイノベーター領域やアーリーアダプターの領域。
保守的なレイトマジョリティやラガード。
結局のところ、言語化できないレベルの深層意識にある
「自分はこうなりたい」
という気持ちに素直になって自分の人生を歩むしかないのです。
幸い、社会にはグラデーションがあります。
その中から自身にマッチする環境を自分で見つけて、幸せになるしかないのです。
人生とはそういうゲームなのです。
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